- Q 現在の研究テーマはなんですか。
↓
-
?ウニ駆除ロボットシステムの開発※1
いままで研究してきた深海ロボットの技術を水産業、特にウニ駆除ロボットへ応用することに取り組んでいます。平成30年度~令和2年度には、農林水産省の食料生産地域再生のための先端技術展開事業「異常発生したウニの効率的駆除及び有効利用に関する実証研究」の予算を得て、 AI技術を使ったウニの自動認識やウニ駆除用のROVを開発しました。現地での直面している課題を対象に先端技術の現場への実装に向けた現地実証試験?開発になります。
※1本研究は、農林水産省の「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」(平成30年度~令和2年度:宮城県?水産業分野)の支援により、「ウニと藻場の豊かな漁場再生コンソーシアム」で取り組みました。
?小型無人船の制御とウニ密度調査システム※2
ウニ駆除ロボットシステムの開発にともない、沿岸域の海洋調査システムの無人化が急務となったため、国土交通省の実証事業「小型ASVを用いたウニ密度マップによる効率的な駆除方法の検討」による研究を実施しました。なお、海上法では船舶に値しないサーフボードくらいの小型船を使って、海面と海底の様子を調査するシステムを作っています。いまは水中カメラを海面から下に向けて写真を撮影して、ウニ密度マップ(コンター)やオルソ画像を作っていくという研究を進めているところです。
※2本研究は、国土交通省の「海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業」(令和3年度)の支援により、株式会社マリン?ワーク?ジャパンと共同で取り組みました。
?非線形制御及び非線形同期
これが私の本当の専門分野で、非線形制御のスライディングモード制御が、本学の大学院生の時からずっと行っている研究テーマです。 非線形制御は、波の影響を受ける船舶や海洋ロボットといった外乱が多いシステムを制御する際に、特にメリットがあります。非線形同期というのは、お互いがバラバラなのにいつか統一されてしまうホタルのような運動のことで、制御器の間でも起きることがあります。どちらも数学モデルを作ってシミュレーションでまず確かめてから実際のものに応用していくという形を取っています。 - Q 研究の面白さ、やりがいを教えてください。
↓
-
やりがいは、大学のリサーチ?アドミニストレーター(URA)?学生や地元役場、漁協、民間会社とともに社会実装に向けて研究を実施するところです。具体的には宮城県の南三陸町志津川漁協、横須賀市長井漁協や各自治体との協力等。実用化はまだですが、海洋産業における高齢化や労働人口の減少を考えると機械化や自動化の重要性は高いと考えています。
やはり一番の喜びは、自分で考え出した制御アルゴリズムや制御システム(電子制御回路)をロボットに実装し、安定した運動を得ることができた時です。工学者としてきちんと数学と実際のモノが結びつくということを重視するのが制御工学なので、それを常に意識して研究しています。 - Q 研究の大変な点を教えてください。
↓
-
海域試験までには絶対にロボットを仕上げなくてはならないところです。ロボットの完成度を睨みつつ、きちんと計画を立ててプラン通り実行していかないと前日になっても全くできてないということになりかねません。きちんとした見通しの上で計画を立てて、学生とシェアして進めています。移動?輸送?海域試験は天気にはかなわないところもあるし、実験には体力と精神力を使うので、海域試験が終わるとほっとします。
- Q 研究によって、どのような社会的インパクトが期待できますか。
短期的なもの(1?2年後程度)と長期的なもの(?10年後)を教えてください。
↓
-
?短期的
ウニ駆除ROVシステムと小型自律無人船
ウニ駆除の密度マップ作製のためのAIとASVシステムは技術移転を調査会社と実施しているところです。ロボット開発はほぼ完成していますので、数年後には調査会社や漁協で運用できると思います。
?長期的
非線形同期と群れ制御
ASVや海洋ロボットを群れで制御する技術の研究に移行する予定です。これにより無人で広範囲を複数のロボットを使って調査するシステムを狙っています。
最新のトピック
ウニ駆除ROV(水底生物採集ロボット)が特許登録されたこと。ウニ駆除の密度マップの作製のAIとASVシステムが技術移転に移行したこと
特許取得:水底生物採集ロボットおよび水底生物採集システム
出願:採泥用自動水上航行体の制御方法 - Q 研究は、SDG